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(4) 情報通信ネットワークとデータの活用

情報I「ネットワークと暗号化」練習問題と解説

ネットワーク分野は用語の意味さえ正確なら確実に取れます。ただし公開鍵暗号とデジタル署名で「誰のどちらの鍵を使うか」だけは毎年のように狙われる急所なので、ここは図で覚えるより言葉で言い切れるまで練習しましょう。

1. LAN・WAN と接続機器

学校や家庭など限られた範囲のネットワークがLAN、それらを結んだ広い範囲のネットワークがWANで、世界規模でつないだものがインターネットです。接続機器では、同じネットワーク内で複数の機器をつなぐハブと、異なるネットワーク同士をつないで宛先に応じた経路を選ぶルータの役割の違いが問われます。ルータが行う「どの道を通すか決める」処理を経路制御(ルーティング)といいます。

2. パケット交換 ― なぜ小分けにして送るのか

データをそのまま丸ごと送るのではなく、パケットという小さな単位に分割し、それぞれに宛先などの情報をつけて送り、受信側で番号順に組み立て直す方式です。回線を1つの通信が占有しないので、多数の利用者で回線を効率よく共有できます。また一部のパケットが壊れても、そのパケットだけ送り直せば済みます。分割せずに回線を占有する方式(回線交換)と比較させる出題が定番です。

パケット交換の利点(記述問題で書くべき点)

① 回線を占有しないため、複数の通信が同じ回線を共有できる(効率がよい)
② 障害時は壊れたパケットだけ再送すればよい
③ 経路が混雑していても、別の経路に迂回できる
→ 逆に、分割・組み立てや順序の管理という手間が増える点が短所。

3. プロトコルと TCP/IP

プロトコルは通信のための取り決め(約束事)です。手順やデータ形式を双方が同じルールに従うことで、メーカーや機種が違っても通信できます。インターネットではTCP/IPという体系が使われ、役割ごとに階層に分かれています。おおまかには、IPが宛先まで届ける担当、TCPが届いたか確認して順序どおりに組み立てる担当です。用途別のプロトコルとしては、Webの HTTP/HTTPS、メール送信の SMTP、メール受信の POP・IMAP、ファイル転送の FTP があります。

4. IPアドレスとドメイン名・DNS

ネットワーク上の機器を識別する番号がIPアドレスです。人間に覚えやすい文字列であるドメイン名を、機械が使うIPアドレスに変換する仕組みがDNSです。IPv4は32ビットで表され、2³²通り(約43億個)しかなく足りなくなったため、128ビットのIPv6への移行が進んでいます。「アドレスが枯渇した理由」を、ビット数と表せる個数の関係から説明させる問題がよく出ます。

例:IPv4 と IPv6 で表せるアドレスの個数

IPv4:32ビット → 2³² = 約43億個
IPv6:128ビット → 2¹²⁸ = 事実上枯渇しない個数
→ 「nビットなら2ⁿ通り」という関係は、2進数・情報デザイン分野と共通の考え方。

5. 暗号化 ― 共通鍵暗号と公開鍵暗号

共通鍵暗号は暗号化と復号に同じ鍵を使います。処理は速いのですが、その鍵を相手にどうやって安全に渡すかという鍵配送問題が生じます。公開鍵暗号は、誰でも入手できる公開鍵で暗号化し、受信者だけが持つ秘密鍵で復号します。鍵を渡す必要がない代わりに処理が遅いため、実際のHTTPS通信では「共通鍵そのものを公開鍵暗号で安全に送り、以後の本文は速い共通鍵暗号でやりとりする」という組み合わせが使われます。

混同しやすい対応関係(ここだけは正確に)

暗号化 … 受信者の公開鍵で暗号化 → 受信者の秘密鍵で復号(内容を隠す)
デジタル署名 … 送信者の秘密鍵で署名 → 送信者の公開鍵で検証(本人性を示す)
→ 「誰の、どちらの鍵か」を取りちがえる誤答が非常に多い。

6. デジタル署名・認証・セキュリティ対策

デジタル署名は、送信者が本人であること(なりすまし防止)と、内容が改ざんされていないことを保証します。その公開鍵が本当にその人のものかを第三者機関が証明するのが電子証明書と認証局です。また、情報セキュリティの3要素は機密性・完全性・可用性(頭文字でCIA)。外部からの不正な通信を遮断するファイアウォール、人の心理の隙を突くソーシャルエンジニアリング、実在するサイトを装って情報を盗むフィッシングもあわせて押さえます。

練習問題(自作・全問無料)

問題をタップすると解答・解説が開きます。

① データをパケットに分割して送る利点を2つ挙げよ。

解答:(1)回線を占有しないため複数の通信で回線を効率よく共有できる。(2)通信に失敗しても壊れたパケットだけを再送すればよく、全体を送り直す必要がない。ほかに、混雑時に別経路へ迂回できる点も利点です。

② ハブとルータの役割の違いを説明せよ。

解答:ハブは同じネットワーク内で複数の機器をつなぐ中継装置です。ルータは異なるネットワーク同士を接続し、宛先IPアドレスを見て適切な経路へ転送します(経路制御)。「ネットワークをまたぐかどうか」が決定的な違いです。

③ IPv4のアドレスが不足した理由を、ビット数に触れて説明せよ。

解答:IPv4のアドレスは32ビットで表されるため、表せる個数は2³²=約43億個に限られます。インターネットに接続する機器が爆発的に増えた結果この個数では足りなくなり、128ビットのIPv6への移行が進んでいます。

④ 公開鍵暗号を使ってAさんがBさんに秘密のメッセージを送るとき、暗号化に使う鍵は誰のどの鍵か。

解答:Bさん(受信者)の公開鍵。公開鍵で暗号化されたものは、対応する秘密鍵を持つBさんしか復号できません。なお署名の場合は逆で、送信者Aさんの秘密鍵を使います。

⑤ 共通鍵暗号と公開鍵暗号を組み合わせて使うのはなぜか。

解答:共通鍵暗号は高速だが鍵を安全に渡す方法が課題(鍵配送問題)、公開鍵暗号は鍵配送の問題がないが処理が遅い、という長所と短所が正反対だからです。そこで共通鍵そのものを公開鍵暗号で安全に送り、その後の大量の本文は高速な共通鍵暗号でやりとりします。

⑥ デジタル署名によって確認できることを2つ答えよ。

解答:(1)送信者が本人であること(なりすまされていない)。(2)内容が途中で改ざんされていないこと。ただし内容そのものを第三者から隠す働きはない点に注意します(それは暗号化の役割)。

⑦ 情報セキュリティの3要素を挙げ、「サーバがダウンして誰もサービスを使えない」状態はどれが損なわれたといえるか。

解答:3要素は機密性・完全性・可用性。サーバがダウンして必要なときに使えない状態は、可用性が損なわれた例です。情報が盗み見られたなら機密性、書き換えられたなら完全性が損なわれたことになります。

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